二人で息を殺し

付き合い始めて二年目の夏でした。

 

彼のお母さんの実家に三人で泊まり(旅行)に行ったんです。

 

はっきり約束したわけじゃないけど、なんとなく、このまま結婚するような雰囲気になっていました。

 

彼のお母さんと二人でお風呂に入って、背中を流しあったり、三人で川の字になって同じ部屋に寝ました。

 

エッチなことをする気なんか、私には全くなかったんですけど、彼のほうはそうでもないようでした。

 

朝、目が覚めると、お母さんは先に起きて布団を畳んでありました。

 

田舎の広い座敷に私と彼と二人だけです。

 

彼はまだ眠っていました。

 

新しく建てたばかりの広い二階建ての家です。

 

二階には、誰もいないみたいでした。

 

気配を感じて振り向くと、彼が目を覚ましていました。

 

一緒に旅行なんて初めてだったので、寝起きの顔を見られるのも初めてで、恥ずかしくて早く起きてしまおうとしました。

 

そうしたら、彼が私の布団に入ってきました。

 

「待って、誰かきたらどうするの?」

 

「誰もこないよ」

 

男の人は、朝はみんな、ああなるんですか?

 

パジャマの上から触らされたものは、硬くなっていて……。

 

「触るだけでいいから」

 

彼がそう言うので、パジャマの中に手を入れました。

 

「すごい……」

 

私は、そういうところを触ったことがほとんどなくて、どんなふうにすればいいのか、よくわかりません。

 

ただ握って、手を動かしているだけだったんですけど、彼はとても気持ちよさそうな顔をしました。

 

突然、廊下に足音がして、ベランダに出るドアが開きました。

 

部屋にいても、廊下を歩く人の足元だけは見えるんです。

 

彼のいとこのお嫁さんが洗濯物を干しにきたのでした。

 

こっちから見えるってことは、向こうからだって見ようとすれば見えます。

 

もっとも、しゃがんで覗かないと見えないから、そんなことをする心配はなかったけれど。

 

もう、朝も遅い時間になっていたので、障子ごしに声を掛けられるかもしれないと思いました。

 

彼が、じっとしているので私もそのままじっと動かないでいました。

 

二人で息を殺して、私の手は彼のものをつかんだまま。

 

これでやめるのかと思ったら、彼は続きを要求してきました。

 

それだけじゃなくて、私の身体に触ってきて……。